マンション管理組合での合意形成」考

2016年8月1日

としまち研会員:鎌田博介氏のご紹介で、熊本のある区分所有建物の再生の相談がありました。建物は7階建てで、「大規模半壊」の「り災証明書」が出ています。

鉄骨で2階の床梁を補強している被災マンション先日、その管理組合の臨時総会に参加しました。壊れているエレベーターの取り換えと、建物の安全性が心配であるとして、耐震診断をすることが決定されました。さらに、としまち研に再生検討のコンサルタントを依頼することの提案があり、あいさつをしたのですが、費用が出せないということで審議未了となりました。皆さんが落ち着かれるまでは、まだまだ大変なようです。

せっかく熊本に出張したので、市内の被災マンションを3棟ほど視察しました。築10年にもなっていないピロティ式のマンションの「倒壊の危険」という張り紙や、柱の損壊に伴う支えの鉄骨など大変な被災状況も見てきました。

そんな中で、マンション一般の将来について考えてしまいました。ある旧耐震マンションの「建替え推進決議」をしている管理組合から委託を受け、区分所有者の個別面談を行いました。区分所有者のうち、2名が国外居住で「投資」として所有しておられ、なかなか来日される機会がなく、期限までに1名の方にお目にかかることができましたが、もう1名の方にはお目にかかれていません。
マンション標準管理規約を確認しても、総会での議決権行使にあたっては、代理人の資格が相当限定されています。超高齢・少子社会において、相続人が明確でない場合もあります。管理組合の認識では行方不明となっている区分所有者もいます。認知症になってしまい成年後見人がついている方もいます。

いろいろな事情を抱える方が増える可能性はありますので、代理人の範囲の拡大や成年後見制度ほどに大変な手続きをせずに支援機関を設置して合意形成に参加できない区分所有者を減らす、なくすなどの検討を開始すべきときに来ているのではないかと「考」えました。(としまち研理事長 杉山昇)

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